厚生労働行政推進調査事業補助金(腎疾患政策研究事業) 「腎疾患対策検討会報告書に基づく対策の進捗管理
および新たな対策の提言に資するエビデンス構築」
(研究代表者 柏原直樹)

厚生労働科学研究費補助金(腎疾患政策研究事業) 「慢性腎臓病(CKD)に対する全国での普及啓発の推進、
地域における診療連携体制構築を介した医療への貢献」
(研究代表者 伊藤孝史)

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柏原班 研究計画

厚生労働行政推進調査事業補助金(腎疾患政策研究事業)「腎疾患対策検討会報告書に基づく対策の進捗管理および新たな対策の提言に資するエビデンス構築」(研究代表者 柏原直樹)

研究目的

本研究課題は、全国各地の腎疾患対策を評価・分析し、PDCAサイクルを回し、継続的に腎疾患対策を実施する体制を構築することを目的とする。これにより1)CKD重症化を防止し、慢性腎不全による透析導入への進行を阻止し新規透析導入患者を減少させ、2)さらに、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOLの維持向上を図る体制を構築する。

研究計画・方法

以下の分科会・WGを構築して実施する。

  1. 普及、啓発
    医療従事者、行政機関、患者・家族、国民全体にCKDにいて普及啓発を行いより多くの人が腎疾患対策を実践する体制を構築することを目標とする。
    1. 各都道府県のCKD対策責任者の選定と地方公共団体と連携した普及啓発活動の推進
      NPO法人日本腎臓病協会に設置したCKD対策部会(J-CKDI)において、全国13ブロック及び各県の担当者を任命している。各県担当者を中心に、市町村レベルの中心者を特定し、活動実態の把握と効果を評価する。
    2. 普及啓発資材の開発 (担当責任者 内田治仁)
      対象者(医療関係者、行政担当者、患者・家族)に応じた適切な資材を作成する。
    3. 好事例の共有
      都市部と地方では活用可能な医療資源が異なるため、大都市・小都市、地方での好事例を把握し、構造化して横展開を促進する。腎臓病協会ホームページ等に掲載し、好事例の共有を促進する。
    4. 地域のおける普及啓発活動の評価 (担当責任者 伊藤孝史) 地域ごとの普及啓発活動(市民公開講座など)の実施数、認知度の評価を都道府県、市町村レベルで実施する。
  2. 診療連携体制構築:
    かかりつけ医、腎臓専門医、地方公共団体等の連携推進によるCKD重症化予防に取り組む。
    1. 診療連携体制構築 
      都道府県CKD対策責任者を中心に、かかりつけ医(医師会)、専門医療機関、行政との連携体制(CKD対策部会等)の構築を推進する。都道府県、市町村レベルで連携体制構築の実態を調査する。専門医の所在、CKD診療を担うかかりつけ医の情報を地域の行政機関とも共有する。
      各地で展開されている活動の現状を把握し評価する。好事例(かかりつけ医と腎専門医との連携、2人主治医制、専門医が少ない地域での専門医以外の連携協力医のあり方等)を抽出し、地域の医療資源に適応したいくつかのパターンを構築し全国へ展開する。全国の診療連携体制構築を支援する。
    2. 紹介基準の普及 (担当責任者 岡田浩一)
      「かかりつけ医から腎臓 専門医・腎臓専門医療機関への紹介基準」、「かかりつけ医から糖尿病専門医・ 専門医療機関への紹介基準」を、CKD診療を担う関係者に広く普及する。普及率を可及的に定量的に評価する。紹介基準に基づく、紹介率、逆紹介率を経時的かつ定量的に評価する。
    3. 検診結果に基づく保健指導、受診勧奨の推進
      「CKDに関する健診判定と対応の分類例」などを参考にしながら、各々の健診実施機関による保健指導、受診勧奨を推進する。各地の保健師、行政との連携を推進する。
    4. CKD普及・啓発、診療連携プログラム(仮)の構築 (担当責任者 岡田浩一)
      全国市町村で、実施可能なCKD診療連携プログラムを提示する。地域の実情に応じ柔軟に対応すべく、複数のプログラムを提示する。この場合、各都道府県、市長村の糖尿病対策推進会議や都道府県組織、関連学会、医師会、栄養士会、薬剤師会等の協力も得ながら、糖尿病性腎症重症化予防と協力して最適なCKD対策のあり方を提案する。標準的な方法だけでなく、各地域の状況に応じた方法も提案する。かかりつけ医から腎臓専門医への紹介・逆紹介・併診、専門医が少ない地域での連携協力医のあり方等を提案する。CKD発症予防、早期発見・早期介入、重症化予防の各段階のおける各職種の役割の明確化、具体的連携方法を構築し普及を促進する。
      なお、糖尿病性腎症の重症化予防に関しては、現在、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム開発のための研究」(主任:津下一代)により、介入プログラムが開発されつつある。同研究では保健師が中心となって、適切な受診勧奨、保健指導により治療に結びつけ、糖尿病性腎症の重症化高リスク者に対して、保健指導により介入することで腎不全への移行阻止が企図されている。同研究と適宜情報を共有する。
  3. 診療水準の向上 (担当責任者 岡田浩一)
    CKD診療を担う全ての医療従事者が、各種ガイドライン等で推奨されている良質で適切な診療を実践することにより、CKD重 症化予防の徹底を図ることが目的である。
    • 対象者それぞれにおける各種ガイドライン等の普及率
    • 各種ガイドライン等で推奨される診療の実施率 等 を評価する。
  4. 人材育成 (担当責任者 要 伸也)
    CKDに関する基本的な知識を有する療養指導士(看護師/保健師、管理栄養士、薬剤師)等の人材を育成し、CKD診療に携わる医療従事者数の増加を図り、CKD診療体制を充実させる。腎臓専門医療機関等が少ない地域では、療養指導士等とかかりつけ医等との連携により、CKD診療体制の充実につながることが期待される。地域における腎臓病療養指導士数とその推移を把握する。
  5. 研究開発・国際比較 (担当責任者 南学正臣)
    CKD及びCKD診療体制の国際比較、ESRD・腎代替療法(RRT)の実態の国際比較、CKDの成因の相違・特徴、海外のCKD診療体制の調査を行う。ESRD,RRT(移植を含む)の海外動向についても調査する。海外のCKD対策成功事例の調査も行う。以下の推進を図る。
    • 関連学会との連携強化によるデータベース間の連携構築(DKD に関する日本腎臓学会、日本糖尿病学会の連携のみならず、日本循環器学会等の心血管疾患の関連学会との 連携も重要である。)
    • 研究及び診療への ICT やビッグデータの活用
    • 国際共同試験を含めた臨床試験の基盤整備
    • 病態解明に基づく効果的な新規治療薬の開発
    • 再生・オミックス(ゲノム等)研究の推進
    • 腎臓病の基礎研究や国際競争力の基盤強化
  6. トランジション・移行期医療:(担当責任者 服部元史、石倉健司)
    小児期発症CKD患者の成人医療への移行(Transition)に関する実態把握及び、円滑な移行支援策を構築する。29-(4)の連携プログラムに反映させる。小児腎臓病学会と連携し研究協力者を得る。
  7. 高齢者CKD診療のあり方
    1. 高齢者CKD診療における論点整理 (担当責任者 守山敏樹)
      高齢CKD患者の課題を抽出し、高齢者CKD診療における論点を整理する。高齢者は、他疾患、フレイル、認知症等を合併する。個人差も大きく、高齢者のCKD対策では、個人の状況に合わせて、腎不全への進行阻止、QOL維持・向上、要介護状態への移行阻止等の包括的な対応を提案する。
    2. 高齢者腎代替療法のあり方に関しての提言
      QOLを配慮した高齢者腎代替療法のあり方について、国内外の実態を調査する。在宅腎代替療法のあり方についても調査研究する。
  8. CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOLの維持向上を図る体制の構築 (担当責任者 花房規男)
    全体目標にある、CKD 患者の QOL の向上を達成するには、CKD 重症化予防のみならず、様々な合併症予防や、各患者にとって最適な腎代替療法(血液透析、腹膜透析、 腎移植)の選択や準備、治療と仕事の両立支援等も重要と考えられる。論点整理を行い、適切な療法選択の推進、QOL維持向上に資する提言を行い、ガイドラインへの反映を目指す。